プロセスワークを活用した組織開発とコーチング ~バランスト・グロース・コンサルティング

GREETING代表挨拶

バランスト・グロース・コンサルティング株式会社代表取締役の松田です。
右脳と左脳、精神性と物質性(経済性)、変革(Change)と変容(Transform)と進化(Evolution)の微妙なバランスをとりながら人と組織の物心両面における成長を支援したいという想いで「バランスト・グロース」という社名を付け、仲間4人で創業した2007年4月当時、日本には「組織開発」という言葉は殆ど存在しない状態でした。 しかし、通常の人材開発ではカバーできない、点と点をつなぎ線にする、線と線をつなぎ面にする「組織開発(OD)」「プロセスコンサルテーション」と欧米で呼ばれているものに大きな可能性を感じ、研究と現場での実践を繰り返しながら10年間進んできました。最初の頃は米国のODツールをひたすら知りたく、米国のカンファレンスに出向いてワールドカフェやフューチャーサーチといった対話手法の輸入に仲間と情熱を燃やしていました。そして、それがクライアント組織内の「対話の場」で機能するための調整やそもそも「対話の場」の設定に至るまでの進め方、組織開発的アプローチを選択すべき時とすべきでない時の判断、関係性を重視するアプローチと成果や戦略的思考を重視するアプローチのバランスについて、多くの失敗もしながら学んできました。その中では日本の組織開発の先駆者の一人である船川淳志さんを始め多くの諸先輩方の教えを受ける機会に恵まれたこと、クライアント企業の方々やパートナーシップを結んでいる研修会社の方々から組織の難問に挑戦する機会を頂けた幸運に心から感謝申し上げる次第です。
バランスト・グロースは当初より失敗を恐れない実験的な挑戦と学習を重視する組織を志向してきたため、設立3年目の2009年にはよりフラットな組織形態のLLP(有限責任事業組合)に移行しました。最近では階層型組織のアンチテーゼとして「ホクラシー」「コネクト企業」という分散的で柔軟な組織構造のほうが不確実な環境に対応するには向いているのではないかと注目されており、我々も直感的にそういう形態を選択しました。 一方でLLPという組織形態のデメリットとして、組織のエネルギーが短期的なことに向きがちで、長期的なこと:ソリューションの進化に向けた研究開発や顧客へのプロフェッショナルサービスのための組織インフラ充実などに向きにくいという弊害があったことも事実です。そこで、新経営チームにより、顧客の人と組織の可能性を引き出すために、従来の組織開発コンサルティングにとどまらない統合的なサービスを提供するためにバランスト・グロース・コンサルティング株式会社として2017年3月に再スタートし現在に至ります。

最近ようやく日本でも「組織開発」という言葉がよく出てくるようになりましたが、まだまだ一部の人事の方のみに通用するキーワードですし、“言葉は聞いたことあるがよく分からない”という方が大半と思われます。それもそのはず、「組織開発」という言葉の定義自体が曖昧、さらに言えば「定義がない」といわれているものだからです。それでも世界の主要MBAコースには「組織開発」や「組織行動学」のコースは存在しますし、昨今日本でブームになっている「組織サーベイ」を入り口により効果的なチームワークを発揮できるように様々な働きかけを起こして、組織の潜在能力をさらに引き出すこと、つまり、個人の育成・開発ではカバーできない、集団という対象・領域を扱うものと感覚的に捉えて頂ければ、まずは良いと思います。
ここで、我々なりの「組織開発」の捉え方をお伝えしたいと思います。

①「組織を開発する」とはどういうことなのか?

経営という仕事は、激しく変化する環境の中で1段目の状況を作り出すための努力に他なりません。どういう努力の道を辿るかで、持続的に環境に対応できる柔軟で強い「組織のつくり」を実現/開発できるかどうかの運命が別れます。

②「組織のつくり」とは何か?

一言で言えば、人材・組織論の世界で有名な氷山モデルの水面の下の部分です。すなわち、集団の抱える人材のスキル・マインドセットとその人材同士の関わり方のパターン(組織文化)。そしてその相互交流のパターンに影響を与えるビジョンなど理念体系、リーダーシップスタイルや会話のパターン、職場の雰囲気など。

③組織を開発するためのポイントは?

変化に強い柔軟で強い「組織のつくり」を実現/開発するには、ChangeマネジメントとTransition Managementの違いを意識しておくことが重要です。 今の時代、組織は常に新しい変化(新中期経営計画の実現、 DX戦略など)を目指しますが、トップの力技で進めようとしても、物言わぬ他者依存社員を大量に産むか、抵抗勢力によって変革が挫折するかのリスクが高いものです。実際この水面の下が重要だと以前から指摘されているにもかかわらず、組織変革の失敗率はいまなお70%前後と高止まりしている理由の1つは、この「組織のつくり」を変えることの重要性と必要工数を適切に評価できていないことだと考えています。 私たちのアプローチは、変化そのものと、経営と組織構成員が建設的に対話し、個人と集団の内面の変容(Transform)のバランスをとりながら、組織が実りある変革の旅を進むことで、組織を進化させることを「組織開発」と捉え支援していくことです。

④適切な支援のために〜組織開発の普遍性、時代性、個別性

普遍性

組織開発の支援は適切な診断>個人・グループ・組織全体の3つのレベルでの働きかけをしていきます。また、組織開発プロジェクトを通じて我々のノウハウをクライアントに移転し、私たちはいなくなる=お客様が自律運営できるようになることを目指してご支援しています。

時代性

私たちの支援する組織は従業員数1万人以上の大企業から100人未満の中堅・ベンチャー企業まで様々ですが、最近のお客様からのご相談と当方のサービスの組み合わせパターンをご紹介します。
下図は私たちが最近お手伝いすることの多い組織開発領域を示したもので、組織のつくり」を開発するときの開発GAPを「戦略転換度含む構造要因」軸と「リーダーシップ」軸でセグメンテーション(色は信号機の色をイメージ)したものです。



パターン1(淡い水色信号):業績も良い、しかし「組織のつくり」が今のままでは将来的にまずい状況(水色の部分)では、「ミドルの経営者化」をテーマにタスクフォースを組成して、実践プロジェクト型のプログラムを実施

パターン2(黄色信号):大企業に多いパターンですが、組織サーベイを取ったけど、うまく活用できていない。活用するには人事部の人員も経験も足りない状況では、人事部向けコーチングと各職場のチェンジエージェント(職場活性化ファシリテーター育成)を実施

パターン3(ピンク信号):部門の変化を導くリーダーが弱い場合はエグゼクティブコーチングを実施、リーダーはそこそこだけどメンバーのマインドセットおよび関係性がという場合はチームコーチングを実施。
パターン4(赤信号):エグゼクティブコーチングとチームコーチングを組み合わせて複合的に実施

個別性

組織開発に必勝パターンはありません。それはその組織の置かれた個別性(過去の経緯と現在の状況)が存在するからです。私たちは提供者論理に陥ることなく、常に組織開発の普遍性、時代性、個別性を念頭におきながらお客様とともに進化する存在として精進していきたいと思って居ます

2021年8月31日 代表取締役 松田栄一