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2016年09月15日 新井 宏征 [バランスト・グロース コンサルタント]

適応を要する課題への対応―最終章:課題解決のためのセンス

2年前に免疫マップを紹介するコラムを公開させていただきました。おかげさまでたくさんの方々に読んでいただきうれしく思います。当時は、まだコンセプトが発信されたばかりでしたが その後多くのクライアント企業との協奏によって、実際の経験とコンセプトがブレンドされ、本当の意味での知力が育ちつつある気がしています。

今回のシリーズでは新井宏征と小島美佳が、それぞれの視点で「適応を要する課題」とどのように向き合い、理解し、最終的に組織の中でイノベーションを起こすことができるのか... という問いに答える内容を発信していく予定です。


●手法以前に考えるべきこと

今回の一連のコラムでは「適応を要する課題」にどうやって向き合っていくのかについて、いろいろな切り口から考えてきました。前回のコラムで紹介したプロジェクトマネジメントの必要性など、現実的な手法に近いお話しもしてきました。

しかし、同じような手法をお伝えしても、それを元にして「適応を要する課題」にスイスイと向き合っていける人もいれば、このコラムの序章でも紹介したように次々と手法を変えては、本人だけが変われないままでい続けるという人もいます。

この違いはどこから出てくるのでしょうか?私としては、その違いを生み出しているものは「センス」ではないかと思うのです。


●センスとは何か?

「センス」という言葉は難しい言葉です。多くの人がイメージは共有できるものの、具体的にそれは何なのか?と問われると答えにくい概念です。

いろいろな場面で使うことができるというのも、この言葉を難しくしている理由かもしれません。多くの人になじみがある使い方は、見た目や持ち物をもってしてセンスが良いか悪いかと話す場面です。残念ながら、私自身、その手のセンスにはまったく自信がありませんが、ここで取り扱いたいのは仕事に関する場面でのセンスです。

「センス」は英語でもそのまま "sense" ですが、その意味をたどっていくと、動詞で使われた場合は「〜に気づく、感づく」という意味が載っています。このニュアンスが仕事に関する場面でのセンスを考えるのに最適だと思っています。

つまり、自分を取り巻く環境や起きている状況を見た時に、その状況をどこまで細かく、深く理解できているか。その違いがセンスの違いではないかと思うのです。これは仕事に限らず、音楽やスポーツでも同じかもしれません。音楽やスポーツに詳しい人の方が、そうでない人に比べて、同じ演奏やプレイを見ても、より細かいところにまで気づいている。その差を生んでいるものが「センス」だと考えます。


●仕事のセンスを身につけるために

では、そのようなセンス、特に仕事のセンスをどのように身につければ良いのでしょうか。

それは「なるべく細かく、深く」見ることを心がけるということです。コンサルタントがよく使う言葉に「粒度(りゅうど)」という言葉があります(私自身は大学院の研究室で指導教官から教わりました)。文字どおり粒の細かさの度合いのことを表すのがこの「粒度」という言葉の意味ですが、そういう点を意識して、なるべく微細に環境や状況をとらえようとする練習を積むことが、センスを身につけ、高めるために必須の姿勢だと考えます。

例えば社内のことであれば、自分から見てセンスがあると思う上司や同僚などの言葉をよく観察します。同じ状況を見ていても、そこから得ている情報量の違いに気づくこと。まずはそこがスタートです。自分から見ればAさんが会議で怒っていたとしか見えていない状況でも、センスある上司にはAさんが怒るまでのプロセスを見ているかもしれないですし、もしかすると会議が始まる前からAさんが怒ることを想定していたかもしれません。そういうセンスの良い人の環境や状況の見方や視点を自分の中に蓄積していくこと。この地味なプロセスがセンスを身につけ、高める第一歩です。

そしてもうひとつ大切なのは自分自身に対するセンスを高めること。普段なら単に「ムカついた」とか「落ち込んだ...」で終わってしまっている感情に、もう少し冷静に向き合ってみましょう。何に反応をしているのか、その反応している対象は本当は何なのか。この反応は初めてのものか、あるいはいつも起きているものなのか。そういうように、自分の内面に今まで以上に気づいていくことも、センスを高めるための立派な練習です。


●適応を要する課題とセンス

今回は最終章としていきなり「センス」について取り上げました。センスと適応を要する課題との関係をあらためて振り返って、この連載を終わりにしたいと思います。

これまでいろいろな形で紹介してきたように適応を要する課題に対処するためには、これまでと同じ頭の使い方や態度では十分ではありません。それは課題という対象(他者)を変えるような営みのように見えながら、実は自己を変えていく必要がある営みなのです。

そして自己を変えていくためには「気づく」力が何よりも大切です。その「気づく」力を高めるための考え方を「センス」という一般によく使われている言葉の本質を見ながら、変化するために欠かせない頭の使い方やその身に付け方を考えていきました。

一覧のコラムが、読者の皆さんがセンス良く、この不確実な時代を乗り越えていくきっかけになれば幸いです。




●「免疫マップ」や「適応を要する課題に関するコラム」のバックナンバー

適応を要する課題への対応をどうすべきか? 序章:寄稿の意図 (小島美佳)

適応を要する課題への対応をどうすべきか? 序章:「変わる」ことに対する誤解 ? (新井宏征)

適応を要する課題への対応 ― 第2章:メンタルモデルと向き合う (小島美佳)

適応を要する課題への対応 ― 第3章:メンタルモデルを脱ぐ (小島美佳)

適応を要する課題への対応―第2章:As-Isからシステムを掘る (新井宏征)

適応を要する課題への対応―第3章:改めて考える「イノベーション」(新井宏征)

適応を要する課題への対応 ― 第4章:As-Is を深く探求する(小島美佳)

適応を要する課題への対応―最終章:変革のためのキーファクター組織における免疫マップの活用 第1回:私たちが直面している問題の本質と「免疫マップ」

組織における免疫マップの活用 第2回:ツールとしての「免疫マップ」とその使い方

組織における免疫マップの活用 第3回:「免疫マップ」の活用法と注意点

組織における免疫マップの活用 第4回:なぜ免疫マップを使えないのか?

組織における免疫マップの活用 第5回:ステークホルダーマネジメントを活用する

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