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2016年05月17日 小島美佳 [バランスト・グロース パートナー]

適応を要する課題への対応 ― 第4章:As-Is を深く探求する

2年前に免疫マップを紹介するコラムを公開させていただきました。おかげさまでたくさんの方々に読んでいただきうれしく思います。当時は、まだコンセプトが発信されたばかりでしたが その後多くのクライアント企業との協奏によって、実際の経験とコンセプトがブレンドされ、本当の意味での知力が育ちつつある気がしています。

今回のシリーズでは新井宏征と小島美佳が、それぞれの視点で「適応を要する課題」とどのように向き合い、理解し、最終的に組織の中でイノベーションを起こすことができるのか... という問いに答える内容を発信していく予定です。


● As-Is 分析を深く、時間をかけて行うこと

前回までは、CIAのPhoenix Check List を紹介しながら 現状(以降はAs-Isとします)の分析を深く行うためにはメンタルモデルを認識することが大切であると論じてきました。

As-Isの分析が不十分のまま なにやら分析をしたような気になって、議論を先に進めてしまうというのは頻繁に起こる現象です。
この危険性については、先月の新井のコラムでも触れています。不思議なことに、私たちはいつも問題をわかったような気になって、すぐにソリューションを欲しがる。おそらく、どこかに早く前進しなければならない、という心理的な強迫観念があるのでしょう。

しかし、『学習する組織』の著者であるピーターゼンゲは、以下のように話しています。

"One of the problems we have in business is that people want to programatize things. That itself is a source of a lot of limitation because programs come and go." Rather, he suggested, organizations could benefit by an ongoing exploration of the question. "(出典:"Mindfulness in Organizations: Foundations, Research, and Applications")

(訳)ビジネスの分野における問題は、人々が常に物事をプログラム化(問題と解決策やソリューションを紐づけた部品化のようなニュアンスと私はとらえています)することです。これが制約を生む根源的な要因になっています。なぜならプログラムは生まれては消えてゆくからです。それよりも、組織は問いを探求しつづけることでベネフィットを享受できるのである、とゼンゲは主張しています。

私たちも、こちらのシリーズで再三 その大切さを申し上げています。
皆さんにとっては、くどいようにも思えるかも知れません。しかし、このようなコンセプトに頭では賛同しても、結局ビジネスの場に戻ると問題を吟味する前に解決する方向へとマインドが切り替わってしまうものなのではないでしょうか。


● 過去に似たような問題を経験したか?

さて、CIAのPhoenix Check Listに戻りましょう。
前回、ご紹介した「問題でない領域を明らかにする」という部分を議論していると、次第に自分たちが持っていたメンタルモデルに当たりがつけられてくるでしょう。例えば変革を進めていくうえで 社員の意識変化を早期に求めすぎていた(人の意識はすぐに変化するという幻想を抱いていた)ということに気づくかもしれません。このような議論を経て、次に 辿りつくのは「過去の似たような問題を経験したことがあるか?それを解決できたか?」という設問です。

この設問も、とても大きな示唆に富んでいます。
まず、似たような問題を解決した経験があるのなら、当然その解決策が参考になります。ここでは、経験がありそうな人へのインタビューを行いながら新しい視点をもらうというのも一つの方法でしょう。しかし、もしご自身が似たような経験をしていたにもかかわらず、今の問題が解決に至っていないとしたら...。それは何を意味するでしょうか。

まず、似たような問題を解決した経験があるとしましょう。
この場合は、そのときの経験を忘れてしまっていたか、その当時の経験を吟味していないということになります。単純に考えると、「では、その方法を適応してみましょう」ということになるのですが...。ちょっと待ってください。なぜ、忘れていたのでしょうか。なぜ、吟味しなかったのでしょう。これは、私たちが目先の問題解決をすることに、如何にすべてのエネルギーを奪われてしまっているのか... を教えてくれている。その状態に自分がなってしまった要因を知り、同じことを繰り返さない手を打っておくことが より本質的な解決に導くための思考になると思います。

では、次に 似たような経験をしており、その時に解決ができずに終焉していた場合はどうでしょうか?このような問題があった場合、皆さんは「結局、組織は分裂した」「何事もなかったかのように日常に戻った」「私は、解決されなかったので会社を辞めました」などといったコメントが出てきます。
これは、より探求が求められるプロセスです。同様のプロセスや問題が発生し解決に至らない「パターン」が浮上してきますね。このようなパターンが見えるときには、もう一つの掘り下げが求められます。そして、多くの場合 「実は、全員が知っているはずなのに語られてこなかった真実」が隠されている場合が多いと感じます。

次回には、このパターンという分野を扱うAs-Isの分析方法について触れてみたいと思います。


●チェックリストの活用方法

Phoenix チェックリストの活用方法について解説した資料(3ページ分)のダウンロードサービスを行っております。 ご興味のある方は、info@balancedgrowth.co.jp へお問い合わせをいただくか、または、バランストグロースLLPのメールマガジンへご登録くださいませ。

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●「免疫マップ」や「適応を要する課題に関するコラム」のバックナンバー

適応を要する課題への対応をどうすべきか? 序章:寄稿の意図 (小島美佳)

適応を要する課題への対応をどうすべきか? 序章:「変わる」ことに対する誤解 ? (新井宏征)

適応を要する課題への対応 ― 第2章:メンタルモデルと向き合う (小島美佳)

適応を要する課題への対応 ― 第3章:メンタルモデルを脱ぐ (小島美佳)

適応を要する課題への対応―第2章:As-Isからシステムを掘る (新井宏征)

組織における免疫マップの活用 第1回:私たちが直面している問題の本質と「免疫マップ」

組織における免疫マップの活用 第2回:ツールとしての「免疫マップ」とその使い方

組織における免疫マップの活用 第3回:「免疫マップ」の活用法と注意点

組織における免疫マップの活用 第4回:なぜ免疫マップを使えないのか?

組織における免疫マップの活用 第5回:ステークホルダーマネジメントを活用する

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