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2016年04月26日 新井 宏征 [バランスト・グロース コンサルタント]

適応を要する課題への対応―第2章:As-Isからシステムを掘る

前回から始めた「適応を要する課題への対応をどうすべきか」というシリーズコラム、第2回目になります。平行して書いている小島美佳の第2章、そして第3章も合わせてお読みください。


●To-BeよりもAs-Isを知ること

適応を要する課題の取り組みを行う場合、その取り組みの方向性を決めることから始まることがよくあります。プロジェクトの目標を定めたり、To-Beと呼ぶ、プロジェクト後のあるべき姿を描き、それをプロジェクトメンバーで共有することから始まるような進め方のことです。

このような始め方は、当然、悪いようには見えません。しかし、このような王道とも言えるような進め方をしたからといって、必ずしもプロジェクトが成功するわけではないのです。むしろ、このようなプロセスだけでは失敗してしまうことも少なくないのです。

では、何が足りないのか。それはAs-Is、つまり現状を「深く理解すること」です。

実際のお客さまにこのことを伝えると「なんだ、そんなことか。現状分析ならやってるよ」という答えが返ってくることがあります。そんな基本的なことは、誰だってやっているとでも言いたそうな雰囲気で言われることも珍しくありません。


●それはAs-Isではない

その場合、もう一歩突っ込んで、具体的にどういうことをやっているのか尋ねてみると、大抵、SWOT分析や3C分析をやっていると言いながら、自社の強みと弱み、あるいは自社と競合、顧客について、箇条書きでさまざまな項目を書き連ねた、一件整理された資料を見せられることがあります。

ここで、先ほど書いたことを思いだしてください。私が書いているのは、現状を「深く理解すること」です。

出来合いのフレームワークを持ってきて、誰もが思いつくようなことを並べるという行為は、たしかにその手の本を読むと「現状分析」として書かれていることかもしれませんが、それをやったからといって現状を「深く理解すること」につながっているとは限りません。

ここに小島の第2章、そして第3章のコラムに書かれていたメンタルモデルの話しが関係してきます。ここにあるのは、「私たちは今のことは良く知っている」というメンタルモデルです。

しかし、私たちが「知っている」と思って現状分析として書き出したものは、何かが生み出している現象でしかない場合が多いのです。例えば、今の状況を「売上が下がっている」と分析して満足しているようなことです。ただし、これは海の上に見えている氷山の一角でしかありません。そのため、いくらこのようなレベルのものを書き出して整理したとしても、それは単なる現象の寄せ集めです。


●As-Isの底にあるシステム

『星の王子さま』ではないですが、本当に大切なものは目に見えない、海の下にある氷山が生み出している仕組み、つまりシステムにあるのです。つまり、私が書いているような現状を「深く理解すること」を実際に行うためには、現在の状況を作り出しているシステムの理解が欠かせません。

例えば、小島の第3章:メンタルモデルを脱ぐでも書かれている「問題ではない領域を明らかにする」というプロセスを行うことで、本当に問題であるものを見えやすくし、システムを理解するための大きな第一歩となる場合が多いのです。

このように、変革の取り組みを進める際には、「そんなのわかっている」と思ってしまう時にこそ、本当にわかっているのか、海の下に深く潜んでいるシステムの根っこを理解できているのかと問うて見る絶好の機会だということを忘れてはいけません。それこそがメンタルモデルに気づく大切な一歩なのです。


●「免疫マップ」や「適応を要する課題に関するコラム」のバックナンバー

適応を要する課題への対応をどうすべきか? 序章:寄稿の意図 (小島美佳)

適応を要する課題への対応をどうすべきか? 序章:「変わる」ことに対する誤解 ? (新井宏征)

適応を要する課題への対応 ― 第2章:メンタルモデルと向き合う (小島美佳)

適応を要する課題への対応 ― 第3章:メンタルモデルを脱ぐ (小島美佳)

組織における免疫マップの活用 第1回:私たちが直面している問題の本質と「免疫マップ」

組織における免疫マップの活用 第2回:ツールとしての「免疫マップ」とその使い方

組織における免疫マップの活用 第3回:「免疫マップ」の活用法と注意点

組織における免疫マップの活用 第4回:なぜ免疫マップを使えないのか?

組織における免疫マップの活用 第5回:ステークホルダーマネジメントを活用する

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