組織が健全な成果を上げ、メンバーが仕事を通じて大きな喜びを得られる。バランスト・グロースは、そのような組織づくりのお手伝いをします。

Library

組織開発コラム ↑一覧ページへ

2015年07月29日 新井 宏征 [バランスト・グロース マネージング・パートナー]

商品開発リーダーシップ入門 第3回:商品開発リーダーは「言葉使い」


●「言葉使いであれ」

春前からリーダーシップ本の翻訳に取り組んでいましたが、ついにAmazonで『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』として予約できるようになりました(遅れずに校正を仕上げなければ...)。

そういうタイミングということもあるので、今回は「商品開発リーダーシップ」の中の「リーダーシップ」というところに焦点を当ててみたいと思います。

リーダーとは、ある意味猛獣使いのように、いろいろなものを使わなければいけません。猛獣のような上司をうまくコントロールしていかなくてはいけないかもしれませんし、チームメンバーや部下に気持ち良く動いてもらうことも必要になってくるでしょう。社内の他部門、社外のパートナー、お客さまなど多様なステークホルダーとうまくやっていかなくてはならないのが、商品開発リーダーです。

どのような立場の人とうまくやっていこうとしても、すべての場合に共通しているのが「言葉使いであれ」ということではないかと思います。私自身の経験はもちろん、最近議論をしたパートナーの方とも同じような話しになりました。そこで、ここからは2つの場面から「言葉使い」とならなくてはいけない必要性を考えてみましょう。


●場面(1):ステークホルダーの期待のコントロール

商品開発のプロジェクトにはさまざまなステークホルダーがからんできます。その中には、「全然わかってない」人もいるかもしれませんが、実際にはそういう人は少なく、それぞれの立場では一見、正しいことを考えている場合が多いのです。

そういう人が集まり、プロジェクトの目標やスコープなどを定めて、いざプロジェクトが動き始めると、いろいろな齟齬が生じはじめます。

なぜそういうことが起きるのかというと、一見「合意できていた」と思っていたことが、実はそうではなかったために起きてしまっているのです。私の経験上、そういう勘違いは言葉のとらえ方の違いから来ていることが少なくありません。

例えば、この連載でも幾度となく出てくる「イノベーション」という言葉は、要注意ワードの筆頭候補です。「イノベーション」と聞いた時、ある人は新技術を開発することだと思っている一方、別の人はAppleがiPhoneを出したような、世界を変えるようなものを生み出すことだと思っていたりするのです。

往々にして、そのような違いはプロジェクトの最初の段階で表に出てくることは多くなく、いざ成果物が目に見える段階になってきた時に「こんなはずじゃない!」という意見が飛び交うのです。

そうならないようにするためにイノベーション実現メソッドの元となっているようなリーンスタートアップのような考え方を元にして、小さなサイクルをまわしていき、早い段階で「こんなはずじゃない!」を表に出しておくという考え方もあります。

しかし、それ以前に取り組むこととしては、ステークホルダーの期待を明らかにする際に、言葉の定義や使い方にまで注意を払うことが大切なのです。そうして、過度な期待や方向性のずれを修正しておくことができれば、プロジェクトがある程度進んでから振り出しに戻るような事態を避けることができるのです。


●場面(2):メンバーのやる気のコントロール

「言葉使い」スキルを発揮することで、プロジェクト開始時点でステークホルダーの期待をコントロールできたとして、次に目を向けるのはプロジェクトメンバーです。

どのようなプロジェクトであれ、新たに商品やサービスを開発するプロジェクトには、さまざまな苦労が付き物です。すべてのプロジェクトが潤沢な予算を与えられているわけではありませんし、成長途上のメンバーに手を焼くこともあるでしょう。会社の都合で決められたスケジュールの変更に右往左往することもあるかもしれません。

そのような一見致命的ではない小さな苦労のひとつひとつが、メンバーのやる気を削いでいきます。そして、いつしか「プロジェクトを終わらせること」だけに焦点が当たってしまうことにもなりかねません。

この時に大切なのが「なぜこのプロジェクトをやるのか?」というWHYをメンバーに投げ続けることです。WHYを持つことの重要性は、私が研修などで皆さんに見ていただくことが多い「サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか」で語られています。

このWHYをリーダーが持ち、メンバーに伝えるためには、リーダー自身がそのWHYを明確に理解し、言語化するというプロセスが重要になってきます。借り物の言葉ではなく、自分の体験や経験も交えた、真に迫る言葉でWHYを語り、メンバーに投げ続けられるかどうか。これがリーダーが「言葉使い」でなければいけない、もうひとつの理由なのです。

商品開発やイノベーションといっても、結局は、他人同士が集まって行う営みであることに変わりはありません。自分ではない他人が相手だからこそ、前に進めるために言葉を尽くす「言葉使い」であることは重要なスキルだと思うのです。


【連載目次】

お気軽にお問い合わせください。

info@balancedgrowth.co.jp

上へ戻る

バランスト・グロース | 東京都中央区銀座1-20-17 押谷ビル9F