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2015年04月20日 新井 宏征 [バランスト・グロース マネージング・パートナー]

商品開発リーダーシップ入門 第2回:不確実な時代の製品開発とは?


●不確実な時代のマネジメントと製品開発

商品開発リーダーシップの第1回「イノベーションに必要なリーダーシップとは?」では、『成功するイノベーションは何が違うのか?』の中でももっとも重要な考え方として、製品や企業の成熟度に応じてマネジメントのスタイルが違うという点についてご紹介しました。

マネジメントのスタイルを分ける基準として「不確実性」に注目し、不確実性が高い時期に必要となるのを「起業家的マネジメント」、不確実性が低い時期、つまり状況が安定している時期に必要となるのを「伝統的マネジメント」と区別することを紹介しました。

そこで、今回は不確実性が高い時期、つまり新製品や新サービスに取り組み始めたばかりのタイミングにおける製品開発、あるいはサービス開発の基本的な考え方について整理していきたいと思います。

ちょうどこの原稿の案を考え始めた頃、『バリュー・プロポジション・デザイン』という本が発売されました。この本は、『ビジネスモデル・ジェネレーション』の続編とも言うべき本です。『ビジネスモデル・ジェネレーション』が、事業開発におけるビジネスモデル全体を扱っていたのに対し、『バリュー・プロポジション・デザイン』では、顧客とその顧客に提供する価値に絞り込んで考えるプロセスを紹介しています。

出版社のご厚意で、運良く本書を発売前に読むことができたこともあり、今回はこの本の内容にも触れながら、不確実な時代の製品開発についていきたいと思います。


●課題と解決策から考え始める

そもそも不確実な時代の製品開発というテーマを考えるようになった背景には「作れば売れる時代」ではなくなってきたというものがあります。このような中では、自社が作った製品が必ずしも顧客に受けいれられるとは限りません。しかし、製品化された後になって、それが顧客には受けいれられないとわかっても、基本的にはもう手遅れです。

(もちろん、世界的に見れば、すべての地域においてそう言い切れるわけではありませんが、ここでは私たちが普段身を置いている状況を前提に考えます)

そこで製品化する前に、顧客が抱えている課題やニーズをきちんとつかむ重要性が注目され始めました。そのような重要性を方法論と共に説いた『リーン・スタートアップ』や『アントレプレナーの教科書』といった本が発売され、デザイン思考やアジャイル開発といった手法が人気を博しました。このような本や手法で解かれている基本的な考え方は、次の図で示したようなものです。

課題・解決フィット.png

大切なのは、始めに顧客が抱える課題とその課題に対する解決策を明らかにすることです。そのプロセスで顧客が本当にそのような課題を抱えていると確信でき、さらにそれに対する解決策を顧客が必要としていると確信できた後、初めてそのような解決策を盛り込んだ製品をどのようなものにするかを考えるのです。


●バリュー・プロポジション・デザイン

冒頭でも紹介した『バリュー・プロポジション・デザイン』の中で紹介している「バリューマップ(Value Proposition Canvasとも呼ばれている)」は、次のようなキャンバスです。

value_proposition_canvas_pdf.png
※ダウンロードはvalue_proposition_canvas.pdfから

このバリューマップは、右側の丸は顧客セグメントを、左側の四角は自社が提供するバリュー・プロポジション(価値提案)を表しています。

実際にこのマップ(キャンバス)を埋めていく手順としては、一番右側にある「顧客の仕事」を考えるところから始まります。想定している顧客が、こなしたいと思っていることを考えるところがこの部分です。その後、円の上は「ゲイン」、つまり顧客が達成したいことや顧客が受けるメリット、円の下では「ペイン」、つまり「顧客の仕事」をこなす際に伴う好ましくない結果やリスク、障害などを埋めていきます。

そのように考えた後、左側のバリュー・プロポジションでは「ゲイン」を増やす要素となる「ゲインクリエーター」、「ペイン」を減らす「ペインリリーバー」を考え、その両方を実現するような「製品やサービス」が一番左側の枠に入ります。

このように右側の顧客から埋め、最終的に一番左側の製品やサービスに至るまでの一連のプロセスは、先ほども紹介した「課題/解決」のフィットを考えていくプロセスを視覚化したものです(そういう意味では、一番左側は「製品やサービス」というよりは「ソリューション」の方が良いかもしれませんね)。

もちろん、これをなんとなく埋めていけば「課題/解決」のフィットがわかるというわけではありません。これをきちんと埋めていくためには、次回以降ご紹介していくように『成功するイノベーションは何が違うのか?』で紹介されている「イノベーション実現メソッド」のステップをひとつずつ進んでいかなければなりません。

ただし、そういうプロセスの過程を視覚化し、検討をしやすくするためのツールとして、このキャンバスはとても優れたものだと思います。ぜひ『バリュー・プロポジション・デザイン』も参考にしながら、キャンバスの作成に挑戦してみてください。

※なお、このバリューマップ(バリューキャンバス)の使い方を踏まえて、顧客の理解の方法を紹介するセミナー「イノベーション実現メソッド 実践編 (1) 〜 顧客が欲しがるものを見つけ出す」を5月29日(金)に開催します。


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