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2014年12月19日 祖父江 玲奈[バランスト・グロース パートナー

ダイバーシティを活かせる組織、活かせない組織:第1回 日本型マネジメントの功罪(前編)

安倍政権が推進している女性の活躍を受けて、様々な企業でダイバーシティの推進が進んでいます。数値目標の設定や、そのハードルの高さには賛否両論ありますが、経団連のサイトで各企業が取組みを公表するなど、企業でダイバーシティを推進していく機運が生まれたことには安倍政権の効果があると言えます。

しかしながら、ダイバーシティの推進は簡単ではありません。

本コラムでは、様々な企業におけるダイバーシティの課題分析を通じて、また私自身が日本企業で女性管理職として勤務した経験から、日本型組織におけるダイバーシティ推進におけるチャレンジを考察していきたいと思います。



●女性の昇進を阻む"同一化"の壁


日本の女性社会進出率を見る上で、特徴的なのは2点です。
1. M字カーブ:結婚・出産に伴う離職・再就職の困難さ
2. 組織上層部での女性比率:役員や管理職への(女性社員率に対する)昇進率の低さ

M字カーブは多くの子育て支援策によって改善してきていますが、女性マネジメントの少なさが日本企業に特徴的な課題です。なぜ女性は(男性に比べて)昇進できていないのでしょうか?
内閣府の分析にある「固定的性別役割分担意識」が日本社会には根強く、女性のキャリアを妨げていることは事実です。
ボストンコンサルティンググループが発表したWomen Want More にもある通り、日本女性は突出して家庭の負荷が高いと言われており、国際社会に見るとまだまだ途上といえそうです。しかしこれで日本女性の昇進率の低さを説明できるほどの差はありません。

最も大きな要因は、男性管理職が共有する価値観が強く浸透しているため、その壁に阻まれて昇進できない、というものです。

ダイバーシティとは多様性のことですが、違う属性を持つ女性が組織内に存在しても、その違いが表現されなければ同質的な組織と同じです。多くの日本企業では会社は男性管理職中心に運営されており、女性社員はその中で男性管理職の価値観に基づく役割を担っているのが現状です。多様性が発揮されているとは言い難い状況です。

日本が大きく成長した高度成長期は、働いた分だけ売上が向上した時期であり、最適な組織形態として上意下達方式の効率的な組織が成立しました。軍隊型とも言えますが、一つの意思決定で多くの人材が即時に行動に移せることが特徴です。組織として一致して動く必要があり、判断基準や行動様式を共有していて、一人一人の個性は必要ありません。長期雇用を前提としていたこともあり、会社の方針に異を唱えることはキャリアの危機を招いてしまう恐れがあります。

その結果、日本企業では男性管理職の画一的な価値観を共有するという組織文化が生まれました。画一化をよしとする組織文化では、属性が同じ方を優先します。価値観が一致する可能性が高く、説明する事項が少ないほうがよいからです。
この画一的な価値観の存在は、2つの意味で女性の上層部への進出を妨げています。1つには男性管理職は共有する価値観で判断できないため、異なる属性の女性を評価しづらいこと、2つ目は、女性として男性管理職の価値観へ同一化は希望しないということでしょう。

女性の上層部への進出を妨げる「ガラスの天井」の正体、それは男性管理職が共有する価値観へのチャレンジなのです。



●ダイバーシティ=女性キャリアが変わること?


ダイバーシティを推進する企業での取組みは、上記にあるM字カーブへの対策として、採用の女性比率向上や結婚・出産に対する両立支援策によって女性社員数を増加させる施策と、より積極的にキャリアを育成するポジティブアクションが中心になっています。各企業での手厚い両立支援策と待機児童解消の動きによって、M字カーブは改善の傾向にあります。

ところが男性管理職がいざダイバーシティを推進しようとして女性社員と対話を始めると、女性側に被害者意識が生まれる場合が多くあります。「なぜ今さら役割の拡大を要求するんですか」「会社は女性に大変な役割を担わせようとしている」などのコメントがよく見られます。

ここに、男性管理職がダイバーシティを推進する上での落とし穴があります。多様性を活用する本来のダイバーシティ推進の目的と、男性管理職が担っているアプローチには差があるのです。

ダイバーシティ推進策における男性管理職に対するアプローチは、女性活躍推進の必要性に対する理解促進や、両立支援・キャリア育成のためのサポート役がメインとなっています。その結果、ダイバーシティをどのように現場で活かしていくかという点が伝わらず、女性にもっと仕事をして欲しいというメッセージだけが伝わってしまいます。

ダイバーシティ推進の目的としてよく挙げられるのは下記ですが、これらは仕事をする現場の人間としては課題として実感しづらいこと、また女性の社会進出と因果関係が薄く女性活用以外の方法で実現できることもあり、目的としての根拠に乏しいと言えます。
○ 女性戦力の活用、人材の確保
○ 多様なマーケットへの対応
○ イノベーションの創出
因果関係があまりない経営課題を、女性推進を理由につけて女性に担わせているように見えてしまうと、女性側にやらされ感や拒否反応が出てしまうのです。

解決するためのチャレンジは難しいですがシンプルです。
ダイバーシティの推進と会社の目的をしっかり紐づけること。女性活用から一歩進み、多様性を活用することが会社のミッションや戦略とどう関係するのか、明確にすることです。
もう1つは、男性管理職自身もが変わる、マネジメントを変えていくというメッセージを持つことです。マネジメントスタイルの変革を女性推進のために必要と位置づけてしまうと男性管理職はやらされ感がありますし、女性たちもやっかいなマネジメント課題として扱われているという認識を持ちます。

女性の活躍推進に注目が集まりやすいダイバーシティですが、ビジネスの目的としてしっかり多様性を位置づけ、マネジメントとして変化する必要性を認識することが、組織としてのチャレンジでしょう。

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<次回に続く>

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