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2014年10月27日 新井 宏征 [バランスト・グロース パートナー]

組織における免疫マップの活用 第3回:「免疫マップ」の活用法と注意点


●免疫マップの各枠の書き方

第2回目のコラム「組織における免疫マップの活用 第2回:ツールとしての「免疫マップ」とその使い方」では、例を見ながら免疫マップとは具体的にどういうものかを見ていきました。しかし、ただ見るだけと、書いてみるには大きな差があるので、実際に書く際に気をつけるポイントを簡単に見ていきましょう。

まず第1枠の「改善目標」です。ここは免疫マップのスタート地点とも呼べる部分ですが、この部分の目標設定が免疫マップの質を大きく左右します。『なぜ人と組織は変われないのか』では、「ひとつの大きなこと(one big thing)」と表現していますが、ここに書く目標が自分にとって本当に取り組みたいと思うようなものでなければなりません。しかも、本当に取り組みたいと思っていても、簡単に達成できるものでは意味がありません。自分にとって重要で、改善の余地がある目標を設定するようにしましょう。特に、過去に取り組んだものの、うまく改善できなかったような目標を取り上げてみるのが良いでしょう。

次の第2枠は「阻害行動」です。英語では Doing/Not Doing Instead と呼ばれていますが、改善目標につながる行動をする代わりにやってしまうこと、あるいはやらないことを書く部分です。つまり、ここには「改善目標の達成を妨げる行動」を書くことになります。過去に第1枠の改善目標に取り組んで途中でやめてしまった経験がある場合、その改善を阻害するものとして何が起きていたかを思い出してみると良いでしょう。そして、なぜそういう行動をとってしまうのか、パッと思いつかないものであれば尚良いです。なぜなら、それが次の「裏の目標」につながってくるからです。

次の第3枠は「不安ボックス」と「裏の目標」です。ここは書くのが難しい部分ですので、すぐに書けなくても心配せず、じっくり時間をかけて書いてみてください。「裏の目標」を書きやすくするには「不安ボックス」について丁寧に考えてみることが役に立ちます。「不安ボックス」に入る言葉を考える時には、「○○を恐れている」の○○の部分を想像してください。例えば「ばかにされる」「自己中心的に見られる」「弱く見られる」というような感情につながる言葉を出してみるのが良いでしょう。そこから掘り下げて「裏の目標」を書いてみます。

最後の第4枠は「強力な固定観念」です。これは第3枠で出した「裏の目標」と強く結びついている、自分の深い部分にある考え方を書く部分です。どちらかと言えば、口に出したくなり、思い出すのが嫌だと思うようなものを挙げるのが、この部分になります。


●免疫マップの活用法

この時点で免疫マップをひととおり書き上げました。当然ながら、免疫マップは書くだけでは十分ではありません(ただし、書き上げるのはとても大変なのですが...)。免疫マップを書き上げた後のステップをまとめたものが次の図になります。

column03-01.png

基本的にはこの3つの段階を踏んでいくことになりますが、特に大切なのが周囲の力を借りることです。自分一人では改善目標の取り組みを辛抱強く行っていくことは簡単ではありません。そして、思いこんでしまっている部分もたくさんあるでしょう。序盤のステップである免疫マップの再点検に始まり、自分が変化しているかどうかを、周りの協力も得ながら、客観的に把握することが肝要です。


●免疫マップ作成上の注意点【個人編】

免疫マップはたしかに素晴らしいツールです。しかし、特に第3枠の「裏の目標」や第4枠の「強力な固定観念」は簡単に書けるものでありません。この要素があるからこそ「改善目標」が達成できていないのですから、そもそもそれを特定することが簡単ではないことは想像がつくでしょう。

そのため、先ほど免疫マップを書いたあと周囲の力を借りると書きましたが、個人の免疫マップに取り組む場合、作成する段階から周囲の力を借りるのが良いでしょう。免疫マップを書き上げ、その改善までつなげていくことは、少なくても数か月、あるいは1年以上かかる取り組みになります。

そこで免疫マップを作成する段階からコーチを雇い、コーチングを受けながら「裏の目標」や「固定観念」に取り組んでいくのは良いやり方です。


●免疫マップ作成上の注意点【組織編】

では、組織で免疫マップを作るのはどうでしょうか。『なぜ人と組織は変われないのか』では、組織の中で免疫マップを書く取り組みを紹介していますが、実際にはなかなか簡単ではありません。どうしても周りの目や反応が気になってしまい、真に迫った「裏の目標」や「固定観念」が出にくい場合があります。

そこまで深くいけるかどうかは、それまでの組織の関係性に大きく左右されます。それまでに振り返りをするような組織であったかどうか、その際に各個人が本当にオープンに議論ができていたかどうかを確認してみましょう。もし、あまりそういうことに慣れていないような組織であれば、いきなり免疫マップに取り組むことはお薦めできません。

むしろ、基本的な振り返りを定期的に行うことから初めてみましょう。バランスト・グロースでは、KDA(Keep, Discard, Add)という枠組みを使い、組織と個人について、今のまま続けること、今やっているが今後はやめること、今後新たに始めることを行動レベルで書き出し、それを元に定期的に振り返るようにしています。

免疫マップは簡単に取り組めるものではありませんが、真剣に取り組めば取り組んだだけ見返りも大きい手法です。ぜひ、長い目で見て、どういう形で取り組んでいけば良いのかを考えながら、免疫マップの作成に挑戦してみてください。


●解説動画とバックナンバー

なお、このコラムでご紹介している内容を動画でも解説しています。下記のリンクからご覧ください。

免疫マップの概要と活用方法 講師:新井 宏征 - YouTube



【バックナンバー】

組織における免疫マップの活用 第1回:私たちが直面している問題の本質と「免疫マップ」

組織における免疫マップの活用 第2回:ツールとしての「免疫マップ」とその使い方

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