組織が健全な成果を上げ、メンバーが仕事を通じて大きな喜びを得られる。バランスト・グロースは、そのような組織づくりのお手伝いをします。

Library

組織開発コラム ↑一覧ページへ

2014年06月23日 松田 栄一[バランスト・グロース 代表パートナー

組織開発(OD)の基本 第3節:企業事例(1)

連載4回から第6回まではこれまで述べてきた基本セオリーを基に、実際の組織開発プロジェクトの企業事例をご紹介して行きたい。

 第3節:企業事例
  1. 介入計画を立てる際の基本スタンス
  2.外資系メーカーA社工場の再生(フェーズ1)

1.介入計画を立てる際の基本スタンス

事例に入って行く前に、ODコンサルタントとしての基本スタンスを確認する。
(1)特定の個人ではなく、チームや組織というシステム※全体を取り扱う(※システムとは共通の目的/アイデンティティを共有/相互依存している存在)
(2)システム本来の姿が自ずから明らかになるよう支援する
(3)特定の依頼者ではなくシステムがクライアントである
(4)システムは元.々完全な存在で自ら答えを見つける力を持っている

こうしたスタンスを基に、クライアントシステムの1人1人が、注目している事実や思っている本音を安全な形で場に出す。その情報を皆で受け止め、自分たちの姿を認識し、自分たちが過去の行動パターンを断ち切って、新たな行動パターンを生成する決意をかため、それを定着していく、その過程を通じてシステム及びそれを構成する個々人の成長を支援していくことになる。

2.外資系メーカーA社工場の再生(フェーズ1)

◆状況:米国ハイテク産業機器メーカーA社は日本に製造拠点を設けて数十年が経ち大きなビジネスになっていた。工場の立上げから世界最大規模となるまで拡大してきたカリスマ型の取締役工場長が引退し、優れた技術者で紳士的な新工場長にバトンタッチすることになった。ほどなくして世界的な市場のダウンサイジングが起こり、社員の4割をリストラする事態になった。残った社員のモチベーションが著しく低下し、工場長や部長達と言う経営層への不信も強まって、工場のパフォーマンスは低下し続けていた。「数年でこの工場は閉鎖するんだ」という噂も社内のあちこちでまことしやかに囁かれている中、工場長にエグゼクティブコーチングをしてくれという依頼がきた。

◆我々の見立て。工場の社員は前工場長の強いリーダーシップに慣れている。突然の危機的状況に直面し、この難しい局面を招いた戦犯は上層部にあり、ここから立ち直るには新工場長が強いカリスマ型リーダーシップを発揮すべきだと思っている。そこで紳士的な新工場長を短期間で強いリーダーシップを発揮するカリスマ工場長に変容させて欲しいという依頼だが、人はすぐには変われない。変わろうと思って努力を始めても、新たなリーダーシップが板につく前に、周囲の冷ややかな目に晒されると、変容を決意したリーダーも徐々に心が萎えてくると言う、システム元型の「なし崩しの目標(下図参照)」のパターンに陥るのが関の山である。
nashikuzushi.pngのサムネール画像のサムネール画像 こういう時こそ、新工場長のリーダーシップの変容だけではなく、関係性システムに働きかけ、外部環境・内部環境の認識を合わせ、これまでのお互いの関係性、リーダーシップから、未来に向けて望ましいお互いの関係性とリーダーシップを探求し、意図的な協働関係を結び直すアプローチが適切と判断した。

前回のコラムで書いた見立ての枠組みでいうとこうなる

Why目的:工場再生にむけて重点アクションとそれを実現するお互いのリーダーシップのこれまで/これからを共有し、新たな行動パターンにコミットする

Whereどの部分:組織の外部環境と内部環境の共有と変革のための重点行動(集団のOUT)お互いのリーダーシップのこれまでこれから(個人のIN-OUT)

What課題の困難さ:ミドル以下の人心がトップから離反。トップのリーダーシップの改善だけでは状況に対応できず、ミドルの行動変容も鍵となる。今のままの悪いパフォーマンスが続けば、更なるリストラや工場閉鎖もあり得るので短期間で成果が求められる。

Howアプローチ
上記のような見立てを踏まえて、次のようなアプローチを行なった。

step.png
ミドルのワークショップではSWOT分析とシステムシンキングを組み合わせて、現在起きていることをミドルに視点で徹底的に可視化する。翌日はこれからのあるべきリーダーシップ(トップ〜ミドル)と現状について分析する。 1週間後に行なわれた工場長〜部長が集まってのワークショップでは、ミドルのワークショップのアウトプットも踏まえて同じことをやる。
そして2週間後にジョイントでワークショップを行ない、外部環境内部環境の擦り合わせ、ミドルからの突き上げを踏まえて部長層以上のリーダーシップのこれまでこれからについてのプレゼン(1人1人)とそれに対するミドルからのフィードバック。最後に皆で本気で取組むべき小さな一歩の確認とコミットを行なった。かなり緊張感を伴う真剣な場となり、工場再生に向けてミドル以上が一枚岩になった。
その後、工場長に対してエグゼクティブコーチングを半年続け、変容をサポートしていった。

◆結果:
工場のパフォーマンスはワークショップの影響だけではないと思うが、非常に改善されて行った。工場長〜部長のシニアマネジメント層もチームとしてのまとまりが出て、そうした中で工場長の行動パターンもかなり変化していった。良く工場を歩き回り、現場の人達に気軽に声をかけ、彼のリーダーシップは本国の期待していたビジブルなものとなって行った。

次号では事例第2弾として、この工場のその後の変化と更なる変革へのアクションをご紹介して行きたい。

※バックナンバー「組織開発の基本」

組織開発の基本 第01回:第1節:組織開発とは何か
組織開発の基本 第02回:第2節:組織開発で使う道具を俯瞰する(前半)
組織開発の基本 第03回:第2節:組織開発で使う道具を俯瞰する(後半)
組織開発の基本 第04回:第3節:企業事例(1)
組織開発の基本 第05回:第3節:企業事例(2)
組織開発の基本 第06回:第3節:企業事例(3)、第4節:組織開発コンサルタントになるための勉強方法

※ 関連する動画を、バランストグロースのYoutube チャンネル でご覧いただけます。

※バランスト・グロースの組織開発コンサルティングサービス

お気軽にお問い合わせください。

info@balancedgrowth.co.jp

上へ戻る

バランスト・グロース | 東京都中央区銀座1-20-17 押谷ビル9F