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2014年05月25日 小島美佳 [バランスト・グロース パートナー]

後編:日系企業で外国人社員は生き残れるか?

ここ数年、若手外国人を日本国内で採用し、彼らの新しいパワーと刺激を社内の組織活性化に活かしたい。或いは、採用を行い始めたが様々な課題が出てきているのでサポートをしてほしいという依頼が増えてきました。同時に、日本企業で働く外国人の方々との接点も増え、企業側、働く側が持つ互いの苦悩をよく耳にします。

本稿では、実際のストーリーも交えつつ、このような「外国人社員」と日本企業がどのように組織づくりを行うべきかについて述べてみたいと思います。グローバルなリーダーシップについて考える一助として、また外国人の採用や部下を持つ方々への参考になれば幸いです。

※ 前編は、こちらからご覧になれます。

●「わが社」の仕事の在り方、育成についての現実を共有する

Aさんは、中国に生まれ留学生として日本の大学で学んだのち、日本の文化に対する興味や愛着から日本での就職を決め、大企業に就職します。しかし、2年後 彼が決めたのはアメリカ企業の日本法人への転職。「ここまで我慢できた自分をほめてあげたい」... それが彼の本音でした。就職した日本の大企業を退職してしまう彼の心の中はどうなっていたのでしょう。名の知れた企業に就職し、自分の履歴書にその名前が載ることを誇りに感じる、そこで一定のキャリアを歩むことを夢見る。しかし、実際にやらされる仕事は雑務。仕事の背景は説明されぬままで、行った仕事がその後にどのように活かされるのかがわからない...。そんな風に感じているようでした。スッキリしない苛立ちを覚えたまま、しかしそれが日本的大企業の仕事のやり方なんだと自分自身に言い聞かせる日々。そんな状況に2年間 耐えられたのが自分としての誇りだったそうです。一方、はじめて外国人の育成を頼まれる現場側は、Aさんを他の新卒と同じように扱うべきか、或いは彼の異質な要素を活かすべきか。そうはいっても、一体どうやって活かせばよいのか?悩みながら共に仕事をする。そんな中で不可解な行動に出られると、驚きと共に苛立ちも増す。育成を任された側も悩みは深くなってゆきます。

この大企業は、変革的な思想を持つ人事部の旗振りの元、早くから外国人採用を行っていました。その時のAさんはこんなことを言っていました。「僕たちを採用した人事部のZさんは、僕たちの言い分を理解してくれる。一緒に働きたいと思う面白い人だけど、現場にはそんな人はいなかった。Zさんに相談しても、自分として納得できる方向に物事は進まなかった」と言います。

ここで理解すべきは、マイノリティとして採用される中国人のAさんは、まだ外国人を扱いなれていない日本企業に就職するのだということを自分で理解し納得して入社すべきという点です。採用段階では優秀な学生が欲しいため人事部としては夢を語る、その現実とのギャップに彼は驚き落胆するのではないか。日本的な仕事のやり方...。下積みがあり、先輩の仕事のやり方をみて少しずつ覚えていく感覚は、日本の企業文化の中に根付いているものです。これを知らずに飛び込んでしまった Aさんはお気の毒ですが浅はかです。そして、その現実をあらかじめ共有、あるいは教育しなかった企業側にも学ぶべき教訓がここにあると言えるでしょう。


●入社する側も受け入れる側もサポート体制を

外国人に限らず、女性、異業界で訓練を積んだ人材、高齢者など...。異なる文化で育った人材を採用する際に共通するポイントは、入社する側にも受け入れる側にもにストレスを生む事態が起こることです。これを避けることは不可能。異なる文化が衝突することは悪い事ではありません。その葛藤やモヤモヤの中から互いの気づきが生まれ、創造へと進化することもあります。それは私たちに発展の機会をあたえてくれるものであり、プロセスの一つであると捉える方が健全です。しかし、それだけではマイノリティな人材、そしてそれを受け入れる側の葛藤は報われません。

cand-ultima-urma-de-umanitate-dispare-un-copil-de-4-ani-ucis-de-fratii-sai-mai-mari-141533.jpgここで大切なのは、双方の葛藤を受け止める体制であると考えます。どちらの言い分も彼らの観点の中では正しい。その感覚を受け止めてくれる場とネットワークがあることで、随分と楽になるものです。自分の中で「これはおかしいよね?」と思うことを「そうだね」と言ってくれる場が必要なのです。入社する側としては、自分と同じ文化で育った先輩の言葉は勇気の糧になりますし、受け入れ側は先輩の「ああ、そういうことはあるものだよ」という言葉で悩むのは自分だけでないことを理解するものです。葛藤する彼らには、共感し、同じことを思う人がいるのだという安心感が不可欠です。新しい文化と対面するとき、互いが持つ常識や文化が自分とは遠いことに驚くもの。その時に、自分だけが"オカシイ"のではなく、単に価値観や視点の違いなのだと気づくことが大切なのです。

皆さんは、相手が何を考えているのかわからない驚きや苛立ち、焦燥感にかられたことはあるでしょうか?異なる文化の衝突を体験する人々はこのような感覚と常に隣り合わせです。そのような彼らをサポートできるような取り組みを企業には是非とも構築していただきたい...そんな風に思います。





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