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2014年02月21日 小島美佳 [バランスト・グロース パートナー]

女性らしさを失わずに管理職になれるのか?
  ― 社内ポリティックスを優雅に活用するために ―

「女性の管理職をXX人増やす」という目標を設定し、女性が働きやすい環境を整えたり、女性向けの教育にエネルギーを注ぐ企業は多いものと思います。そして、海外と比較すると「まだまだ少ない」と批判を浴びながらも、少しずつ変化はしているのではないかと感じている今日です。

本稿では、私自身の経験も踏まえながら、そういった「女性管理職」という存在に対する女性の心理に触れてみたいと思います。リーダーシップについて考える一助として、またダイバーシティ関連施策を推進される皆さまの参考になれば幸いです。


●女性は本当に管理職になりたのか?

wdapb.jpgアメリカなどの研究に目を通していると、男性よりも女性のほうが出世に対する執着がなく、どちらかというと真面目に仕事のみに打ち込むという調査結果が在ります。2003年に Women Don't Ask: Negotiation and the Gender Divide が出版されたのが大きなきっかけとなり大変注目を集めましたが、その頃から女性は自分が欲しいものを手に入れるための活動や交渉を、男性よりも億劫に感じて後回しにすること。また、高いポジションを得たり、自分が物事を有利に進めるための画策をしたがらないことが理解され始めました。この内容に共感する女性たちは多いのではないかと思います。

私自身、自分が外資系コンサルティング会社でマネジャーへの昇格を言われた時、その重圧がとても苦しくて仕方がなかった記憶があります。その当時は、出世をすることが最も良いことという風潮がありましたが、「できれば給料も下げてもらっていいから昇進したくない」と強く感じました。通常のプロセスよりも早く昇進したのですが、私にとってはこれが最大の苦痛でした。周囲からの期待は高まる、注目が集まると言うのは決して心地の良いものではありませんでしたが、この私の感覚を理解する男性は居ませんでした。「別に私は偉くなるために仕事をしているのではない」ということを同僚の男性に話した時、「それは無欲の勝利だね」と言われて、本当に驚きました。出世競争という考え方を言葉では聞きますが、その時、はじめて男性は常に戦っているのだな... としみじみ感じたものです。


●女性も、男性が持つ本能や特性を理解することで働きやすくなる

マネジャーとして仕事を始め、また新しい会社に移って管理職的な立場になった時、新しいチャレンジに直面しました。実は、どんなに女性が働ける環境が整ってきたとはいえ、ビジネス組織のほとんどは男性社会です。特に営業的な立ち居振る舞いを求められてくると、ますます驚きの連続でした。さきほど申し上げたように、女性は男性よりも「仕事をきちんとやる」方向へとマインドが働きます。そのため相手がどのような立場の人でも、意見することに躊躇がありません。この女性の習性をうまく利用しようと、アメリカ軍では必ず女性を1、2名組織に配属させると聞いたことがあります。しかし、これを男性社会でやってしまうと大変なことになるわけです。それで何度も理不尽だと思う経験をしましたが、少し経ってから ある大企業の役員をなさっている女性と話す機会がありました。「自分では指摘していることが極めて全うなことだと思っていたのに、急に大声で怒鳴られてショックを受けた」そうです。

これは、単純にジェンダーの差を理解できていないから発生しているものだと思います。そんな経験をした後、私は男性という存在を理解するために色々と勉強をするようになりました。男性は、昔は自分の農地を広げることで家族に安全をもたらし、それを守り広げるために戦う。農地を広げる≒現代社会では組織で高いポジションに着くことなのだなと思うことで、自分なりに納得しました。それから、組織において上下関係を重視する男性の習性にもなんとなく理解が出来始めました。今となれば笑い話ですが、「葉隠れ」などの武士道の書を熟読してサラリーマンに当てはめて考えたりなど、色々と工夫を凝らしていたものです。


●女性らしい「政治力」も存在する

Clipboard01.jpg現在は、自分が女性管理職としての茨の道(?)を歩んだことは良かったと思っています。時には自分の弱さに直面し苦しいことも多かったですが、男性と女性の違いを尊重することの意味を深く理解できた気がするからです。自分の境遇や男性社会を憎む気持ちになることもありましたが、違いを知ることは、淡々と自分の仕事が上手くできていない理由にたどり着くプロセスとなり、リーダーとしての成長の機会を頂きました。

そして、私が最も男性ビジネスマン達を観察していて面白かったのは、彼らがかなり神経を使う政治の世界です。社内ポリティックスという言葉を聞くと、これはゴシップ的な嫌な印象を持つ方のほうが多いと思うのですが、これを知らないと組織は動かせないと思います。そして、女性らしさを失くことなく、この情報やスキルを利用することは可能だと思うのです。男性は、社内ポリティックスを自分の身を守る、そして出世することに利用しているかもしれない(男性の皆さま、すみません)。でも、組織の中の人間関係をしっかり把握し、組織の人々を幸せにするうえで、これらの情報は無くてはなりません。正論を掲げて正面突破するだけでは、潰されてしまう。社内ポリティックスを理解するということは、組織の中における1人1人の本音に耳を傾けることであり、組織の現在の温度感を把握するため。戦うためではありません。男性を理解し、彼らが持つビジネスの特性を批判することなくスキルとして淡々と認識すること。それを、自分なりの女性視点で利用することで多くの女性管理職は、恐れられているガンダムにはならずに済むと感じます。多くの女性たちが、管理職になることで女性らしさを失うのではなく、むしろより女性らしくなれることを願っております。


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【祖父江玲奈】
イノベーションに女性視点を活かすには? 〜女性の共感力がヒット商品を生み出す理由 〜
イノベーションに女性視点を活かすには?〜違いはイノベーションの種である ?

【小島美佳】
前編:ダイバーシティマネジメントを考える ― 「マイノリティ」な女性たちが辿った戦いの変遷 ―
後編:ダイバーシティマネジメントを考える  ― 「マイノリティ」な女性たちが辿った戦いの変遷 ―




本稿の参考文献

1) Women Don't Ask
2) Women and Men
3) How Men And Women Differ: Gender Differences in Communication Styles, Influence Tactics, and Leadership Styles
4) Women, work and the art of gender judo

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